GGNEWS

ggnews

寅と馬。

選挙ポスターって必要ですか ?

ご訪問いただきありがとうございます。今日は選挙ポスターについて少し書いてみようかと思います。テーマはズバリ、選挙ポスターは必要なのか ? 結論から言うと、私は「紙の」選挙ポスターは無くすべきだと思っています。以下、その理由です。

理由① 理想と現実との乖離

選挙ポスター =選挙運動用ポスターとは、条例により各市町村の選挙管理委員会が設置したポスター掲示板にのみ貼り出せるもので、私が立候補した宮城県議選の青葉選挙区の場合、 300カ所以上の掲示板が用意されました。

掲示板が設置される場所は、各選管が投票区ごとに人口密度や、地勢、交通など地域の事情を総合的に考慮して選ぶものとされていますが、実際には公共施設や公用地などに設置場所が限られるため、どうしても偏りが生じてしまいます。

 

その結果、人通りの多い場所なのに公共施設がなく掲示板が設置できなかったり、逆に人里離れた山奥の公用地に掲示板が複数設けられたりすることも少なくありません。私もポスターを貼りながら「なんで?」と首を捻る機会が多々ありました。

 

これは公選法政令などが求める理想と、掲示板の設置場所確保という現実の間に乖離が生じているからで、ざっくり言えば時代遅れの法律になってしまったのだと思います。その結果、有権者に情報を届けるというポスター掲示の目的が、単に法令の基準を満たすためになっているのではないか。これが、私が紙の選挙ポスターは無くすべきと考える1つ目の理由です。

理由② 選挙関連費用の節減

先日の記事にも書きましたが、選挙ポスターの作成は公費で賄われ、私が出た青葉選挙区では 1人あたりの上限が 1,049,510円に設定されました。この公費負担は当然、紙のポスターをやめることで削減されるばかりか、掲示板の作成・設置・撤去費用も不要となるので総額ではかなりの費用が節約できます。紙の選挙ポスター不要論の2つ目の理由です。

理由③ ポスター貼りからの解放

選挙ポスターを貼る作業はとても労力を要し、候補者にとっても大きな負担となります。政党などの組織的な支援が受けられる候補者は別として、そうした地盤のない人にとっては投票区全ての掲示板にポスターを貼るのは最大の関門かもしれません。

 

私は1人で300カ所余りの掲示板を回り、自分の力だけで貼ろうとしましたがそれはあまりにも無謀でした。選管から提供される掲示板の所在地は地番表示がほとんどなので、カーナビを使っても住所検索できず、地図も当てになりません。支援者がいれば選管が公表する図面を事前に確認し、ゼンリンマップのような詳細な住宅地図に落とし込んでおくこともできますが1人では不可能です。

また、ポスターを貼る作業も単純労務者として人を雇うことは可能だとする考えと、ポスター貼りそのものが選挙運動になりうるとする考えがあり、実際にそうした解釈をめぐって事件化したケースもあります。とくに私のように候補者1人しか実務担当者がいない場合は、選挙違反の疑いを持たれること自体を避けるしかなく、  (選管の意見も踏まえて)ポスター貼りを外注する選択には至りませんでした。こうした物理的・心理的負担から解放されることも、紙の選挙ポスターを無くすべきと考える理由の一つです。

選挙ポスターのあり方に一石を投じた都知事

先の東京都知事選挙では過去最多の56人が立候補し、掲示板の枠が足りなくなったり、候補者と直接関係のないポスターが貼られるなど想定外の出来事が相次ぎました。こうした事態を受け、与野党は先ごろ公選法を見直す作業に着手しましたが、私はもっと根本的に、紙のポスター廃止について議論すべきだと思います。

紙をやめて電子ポスターの検討を

もっとも私は、候補者の顔や、氏名、政策、主張などを簡潔に表現し、一目でアピールできる選挙ポスターの役割を否定するものではありません。たとえインターネットを活用した情報発信が増えようとも、高齢者などネット情報に接触できない人たちは一定数おり、選挙ポスターが公平な選挙運動の維持に寄与してきたことは認めます。

 

ただ、紙のポスターを掲示板に貼る現在の方法では、さまざまな不都合が生じることは上に記したとおりです。そこで私が代案として期待するのが「デジタルサイネージ」の導入です。現在、選挙期間中だけ設置されている掲示板を全廃し、代わりに地域ごとにデジタルサイネージを常設して対応する方法です。

 

平時は市町村からのお知らせや広告にデジタルサイネージを使用し、選挙期間になったら、例えば1人30秒間隔で候補者の電子ポスターを表示する。そしてそれを次々とループ表示させれば、紙のポスターの役割は十分果たせると思うのです。

電子ポスターであれば入稿はオンラインで完結します。差し替えにもすぐ対応でき、選管側の負担も軽くなることでしょう。これなら組織力や経済力の違いによってポスターを貼りきれないといった事態も回避できますし、何より私のようにポスターを貼りすぎて指に炎症を負い、二度と選挙なんか出るものかとトラウマになる人もいなくなるに違いありません。

 

ということで以上、選挙ポスターが必要かどうかに関する私の考えでした。ここまでお時間割いていただき、ありがとうございました。

 (記事中に示した事例はあくまでも2023年10月執行の宮城県議会議員選挙のデータを基にしたもので、他の選挙では状況が異なる場合があります)

数字はウソをつかない…のかも。

ご訪問いただきありがとうございます

このブログは去年、何を勘違いしたのか宮城県議選への出馬を思い立ち、えい!やっ!と勢いだけで立候補したもののあえなく最下位で落選した男が、ほぼ一年経った今頃になってようやく当時を振り返り始めた、ただそれだけのブログです。有益なことは何ひとつ書いてありませんので先に謝っておきます。ごめんなさい。

 

ということで、私が立った青葉選挙区の開票結果は以下の通りでした。

8回目の当選を果たしたゆささんは、立憲民主党のベテランです。初当選の村岡たかこさんは元仙台市議。市議選では落選しましたが、引退した中沢県議の地盤を引き継ぎ市議選の3倍近い票を集めて政界に返り咲きました。

さとう道昭さんも初当選。桜井充参議院議員の秘書を務めていた方で、引退した菅間進県議の支援を受けました。3回目の当選となる遠藤のぶゆきさんは公明党の若手ホープ。吉川ひろやすさんは東北電力の社員で、県議選5回目の当選です。金田もとるさんは共産党の知性派で2回目の当選。この方の一般質問は勉強になります。石森ゆうじさんは維新の会から初当選した注目の存在。以上、7人が当選者です。

次点はわずか42票差

一方、惜しくも次点に泣いたのは県議を1期務めた自民党の福井たかまささん。土井亨衆議院議員の秘書を長く務めた方ですが、旧・統一教会問題で土井さんに吹いた逆風の影響が多少あったのかもしれません。石森さんとの票差はわずか42票。本当に惜敗でした。ローレンス綾子さんはかつて国政にもチャレンジした方で、参政党宮城の顔的存在ですが当選には届きませんでした。

 

そしてダントツの最下位が私。得票数2088票を多いと思うか少ないと思うかは人それぞれですが、まったく無名の私にいただいた応援としては過分すぎるほど多かったと思います。おかげで供託金も没収されず、公費負担の返済も求められませんでした。ありがとうございました。

選挙運動費に相関しない得票数

宮城県選挙管理委員会が公表した「選挙運動に関する収支報告書」を見ると、各候補者によって選挙費用に大きく開きがあることがわかります。下世話ですがせっかくなので、選挙費用の多い順に並べてみると…

このようになりました。なお今回の選挙で青葉選挙区の法定選挙運動費の上限は、6,857,300円に設定されていましたが、いずれの候補者も法の制限内での選挙運動だったことは言うまでもありません。

 

この一覧でわかるのはまず、さとうさんと村岡さんの新人2人がそれなりに選挙費用をかけていたこと。そして福井さんとローレンスさんもかなり費用をかけたものの、結果が伴わなかったことでしょうか。私に至っては選挙戦で掲げた「節約選挙」は有言実行できたものの、本気度が疑われても仕方ないくらいのケチケチぶりでした。

1票あたりの費用単価

下世話ついでに、選挙費用を得票数で割った「1票あたりの選挙運動費用」も見てみましょう。こちらは落選した福井さんとローレンスさんが、いずれも1票あたり650円以上となって上位を占めました。単純に数字だけを見れば、少なくとも当選者の2倍以上となりますが、これは仕組みとして得票数が多ければ多いほど1票あたりの費用単価が下がるので、そこに何らかの相関関係があるわけではないと思われます。

 

またこれは、費用をかけても得票に結びつかなかったと言いたいわけではなく、これだけ費用をかけてがんばったのに必ずしも報われなかったと、つまり費用をかけたからといって票が約束されるものではないと言いたいために取り上げました。

 

よく、「選挙に立つのにどの程度の自己資金が必要かわからない」という声を耳にしますが、先の宮城県議選・青葉選挙区では、当選者の得票1票あたりの平均費用単価が約262円なので、これに目標得票数を掛け合わせると必要な選挙運動費用の目安がわかると思います。

 

当選のセーフティラインを9,000票に設定するなら、226×9,000=2,034,000円。1万票に設定なら、226×10,000=2,260,000円と、かなり現実的な数字が見えてきますが、もちろん、これだけの費用をかけても得票に結びつくかどうかは別の話です。そしてしつこいですが私の場合、1票あたり71円しか投じておらず、これは猛省すべきでしょう。

公費負担額も人それぞれ

最後にもう一つ、公費負担の額も比べておきましょう。宮城県議選では、ポスター(青葉選挙区上限1,049,510円)やビラの作成代などが公費で賄われました。

 

結果はご覧の通りで、やはりここでも私がダントツのビリです。じつはポスター、ビラの作成代には印刷のほか、デザインや、写真撮影などの費用も(一定の方法によって)含めることができるのですが、私の場合デザインはAdobeイラストレーターを使って自分でやりましたし、写真も風呂場でセルフタイマーで撮ったので外に出て行く費用がありませんでした。

またポスターの印刷は「翌日仕上げ」を謳うネット印刷業者に格安で発注できたほか、ビラは、証紙を貼る人員がいないため初めから作っておらず、その分も安くなったというか、しょぼくなった形です。一番の反省は、三百数十カ所の掲示板すべてにポスターを貼り切れなかったことで、結果的に300枚弱で時間切れでした。

 

今さら言うのも何ですが、ポスター印刷とポスター貼りを一手に引き受けてくれる業者さんがいて(その代わり料金は公費負担上限額)、当初そちらに頼むつもりだったのですが、念のため選管に問い合わせたところ例によって「適法か違法か判断できない」との答え。今となってはその業者さんに頼めばよかったかなあと思う反面、もし頼んで、万が一供託金没収点に届かなかったら100万円以上の自己負担になっていたことを考えると、やはり自分には無理だったのだと思います。

 

ということで、ただ数字を振り返っただけではありますが、やはり選挙に勝つには自己資金にしろ何にしろ「相当な本気さ」が必要ですね。私にはそれが欠けていたと、数字が冷静に示してくれました。

 

以上、ここまでお時間を割いていただきまして、ありがとうございました。

 

(※掲載した内容は今年3月22日付けで宮城県選挙管理委員会が公表した「宮城県議会議員一般選挙における各候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨」をもとに記載したもので、数値はその後、訂正や追記が加わる場合があります ※1票あたりの費用は公表資料をもとに筆者が計算したものです)

10カ月ぶりの更新です。

ご無沙汰しております!

いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで私の方は日々どうにか暮らしております。だったらブログくらい更新しろよと私自身も思うのですが、かといってこんな男のブログに誰が関心あるのだろうという私の惑いにも一理あるとは思うのです。

 

とはいえ選挙に出た理由のひとつとして「後に続く人たちの参考になれば」などと偉そうに言ってしまったことを引きずっていて、いずれ反省なり、後悔なりを、どこかでまとめたいとは思いつつ、いまだ書けていない状況です。

 

もうしばらくお待ちください。誰が待っているかは知りませんが、いや誰も待ってなんかいなくても構いません。もう少しだけお待ちいただければ、私の顛末記を公開できるものと思います。

 

ということで、きょうはこちらの…

scenariohouse.hatenadiary.com

宮城県議選・異議申し立て」のその後

以前、取り上げたまま放ったらかしだった、この記事について、その後どうなったのかというお話を書きたいと思います。たしか新聞にも小さく載ったので、今さらどうでもいいと思うかもしれませんが、まあとりあえず。

 

最初にお断りしておきますが、宮城県の公報によると、異議申し立てが出されたのは当時、私が記事で書いた方(ボカシ画像の人物)ではありませんでした。とはいえ、選挙期間中にネット広告を見たのは事実なので画像は貼ったままにしておきます。

 

で、肝心の異議申し立ては去年11月、青葉区の男性が、維新の会から宮城県議選に立候補して当選した石森悠士さんについて、「公選法違反だから当選無効な」と選管に申し立てたものでした。


それによると男性は、石森さんがYouTubeに公開した動画がわずか数日で再生数1万6千回を超えたのはおかしい。状況から見て公選法で禁止されている「有料広告」を配信したに違いない。石森さんに対してはほかにも公選法に違反したとの指摘があり、複数の違反が疑われる…などとして「当選無効」を主張したようです。

棄却の理由

結論から言うと、選管は申し立ての受理から1カ月ほど経った去年12月、これを棄却しました。告示された決定文をざっくりまとめると、当選無効となるのは「当選人を決める手続きに違法」があったか、「得票数を算定した際に違法」があったか、「当選人となる資格の有無の認定に違法」があった場合に限られるとのこと。

 

また仮に選挙違反があったとしても「連座対象犯罪」を犯して「有罪となった場合」でない限り、当選無効にはならないし、そもそも選挙違反の取り締まりは、検察、公安委員、警察が当たるものなので、「選管にはその権限がない」としています。

選管は取り締まり機関ではない

すごいですねー。そうなんですよ、選管は選挙違反を取り締まらない。まあ、司直ではないので、当たり前といえば当たり前ですが、「なんで!?」と驚いた方も少なくないかと思います。

 

実際のところ選管は、選挙違反を取り締まる立場にないどころか、「ここまでやったら違反ですか?」とか「これくらいなら大丈夫ですか?」といった質問にも答えてくれません。もちろん、「選挙の手引きにはこう書いてありますよ」などと教えてはくれるのですが、それがまたいろんな受け取り方ができる書き方なので迷うわけです。

 

それでも、いくら聞いても選管は公選法に違反するかどうかを「判断する立場には無い」ので、教えてくれることはありません。というか、本当に知らないというか、できないのでしょう。

異議申し立ては2件だった

先の県議選ではもう1件、亘理町の男性から自民の渡辺重益さんについて当選無効を訴える「異議申し立て」があったこともわかりました。

 

この方は渡辺さんが選挙公報に掲載した経歴を確認しようとしたものの、関係機関が個人情報を理由に回答しなかったので虚偽の公表の疑いがあるなどと主張していましたが、青葉区の男性と同じ理由で棄却されました。

 

またこの方はさらに、先方から「選管に対してなら調査に応じる」と言われたそうで、選管が職権を発動して調査すべき、とも訴えていましたが、選管からは「そんな権限もないし、それはあなた個人の見解でしょ」とあっさり断られています。

 

選管の意見はどれも木で鼻をくくったようにも感じますが、厳粛な選挙を扱う部署なので、当然と言えば当然の対応と言えるのかもしれません。

小さな違反は「やり得」なのか

ただ、ただですよ、そうなると選挙違反というのは、かなり緩く扱われている感じがしませんか。だって、「通報しても取り締まらない」という話なわけで、小さな違反なら「やらない方が損」というかむしろ「やり得」などと思う人が出てきても不思議じゃないと思います。

 

なんか腑に落ちないですよね。私が見かけたネット広告も、厳密には選挙違反なのかもしれませんが、連座対象犯罪でもないから問題なしってことなのかも。もやもやするけど、どっちみち落ちた人間には関係ないですね。それではまた。

供託金が返還されました!

待ちに待った書類です!

宮城県議選の告示からちょうど1カ月となる11月13日。選管から「供託金の返還通知」が届きました。もはや、ほぼ誰も関心が無いとは思いますが、私にとって法務局に預けた60万円が戻るかどうかは切実な問題です。幸い2088票のご賛同をいただいたおかげで供託金没収点を越えることができましたが、実際に手元にお金が戻ってくるまでは何が起きるかわかりません。しかしこのたび、めでたく異議申し立て期間が終了し、選挙結果が確定しましたので、無事に返還通知をいただくことができました。ありがとうございます。

 

ところがです。喜んだのも束の間、通知書をよく読むと「同封した受領書を必ず持参」せよと書いてあるのですが、届いた封筒にはそれらしき書類が入っていません。ひょっとして、床に落ちたのだろうかと部屋の中を探してみましたが、どこにもありませんでした。…もしや、このまま受領書が出てこなければ、私の供託金はどうなってしまうのでしょう。私は不安になり、すぐに選管に電話しようと思いましたが深夜だったのであきらめました。そして翌14日朝、さっそく選管に電話してみると、なんと先方の記載ミスだと言うのです。受領書は選管に用意してあるらしく、「どうもすみません」と謝られました。…んっもう!、とは思いましたが、供託金と私をつなぐ運命の糸は切れていなかったので安心しました。

供託正本を受け取りに選管へ

翌日は仕事の都合で動けなかったので、選管には翌々日の16日に出向きました。そこで晴れて「供託金没収ではない」とする証明書と、立候補届けのときに提出した供託正本を受け取ると、今度はその足で法務局へと向かいました。そうなのです、供託金を返してくれるのは選管ではなく、現金を預けた法務局なのです。これがもし、仕事の打ち合わせだったりしたら面倒に思うかもしれませんが、まさに現金なもので、このときは県庁から法務局までの移動など苦にもなりませんでした。まあ、そもそも、それほど離れた場所でもないのですが。

 

法務局では、供託金払い戻しの請求用紙を記入します。そして、選管から渡された書類を添えて窓口に提出すると、払い戻しの方法を「振り込みにするか」「小切手にするか」二択を迫られます。受付の方の説明では、振り込みならすぐに手続きできるが、ただし入金まで約10日間ぐらいかかるとのこと。一方、小切手なら発行に小一時間ほど待たなくてはならないが、この場ですぐに渡せるとのこと。ただ、それは日本銀行仙台支店でのみ現金化できる小切手なので、わざわざ窓口まで行かなくてはならず、おまけに窓口は15時で閉まるので、この時点で今日は間に合わない、とも言われました。

 

話し方の雰囲気から、明らかに振り込みを勧めているのだろうと感じましたが、ここで私の好奇心が、ムクムクと湧き上がってしまいました。「日本銀行渡しの小切手を見てみたい」「日本銀行の窓口に行ってみたい」という俗な好奇心です。そこで私は「小切手でお願いします」と告げると、受付の方に「一時間かかりますよ」と念押しされました。とはいえ、この気持ちはもう抑えられません。もちろん待ちます、お待ちしますと答えて小切手が発行されるのをわくわくしながら待ちました。

ついに小切手を手に入れました!

こうしてついに手に入れた供託金返還分の小切手。思えばこの1カ月、本当に不安でなりませんでした。世間の皆さんは、そんなに騒ぐ金額かよと思うかもしれませんが、私にとっては大金です。実質的には「自分のお金が戻ってきただけ」とも言えますが、私にはむしろ供託金没収点を越える票をいただけたことが奇跡であり、戻ってこないはずのお金がまさか戻ってきてくれた!という感覚です。ですから、心から感謝しないわけにはいかないのです。

 

もし万が一、得票数が届いていなければ、供託金どころかポスター制作費まで自己負担になっていました。仮に政策ビラを作ったり、選挙カーなどを使ったりして供託金が没収だったら、それらもすべて自己負担になるのでダメージは深刻だったでしょう。さすがに私はそこまでの自信も度胸も無かったので、最初からポスター以外は作るつもりがありませんでした。また、たとえ公費であっても選挙にお金をかけるべきではないという考えにはこだわっていますので、いずれにしても選挙運動は小規模に収めていたと思います。

 

じつは正直なところ選挙後は「燃え尽き症候群」と言うのでしょうか、本来の仕事を引き受けてもアイデアが思い浮かばず、打ち合わせに出かけるのも億劫になっていました。そうこうするうちに体調を崩し、三日間ほど寝込んだりもしました。白髪を染めるのも面倒くさくなって、気づけばご覧のような老人の姿に…。「平気、平気」と顔では笑っていても、心の中は白く燃え尽きた矢吹ジョーになっていたのです。

 

…でも、人間って嫌な生き物ですね。小切手を手にしたとたん、ハッピーオーラが舞い降りてきちゃって、速攻、缶ビールを買って、ひとり祝杯を上げてしまいました。

人生初の日本銀行

そしてついにきのう17日、そぼ降る雨の中、私は初めて日本銀行仙台支店の窓口に出かけたのです。じつは今まで、日銀支店長の記者会見や短観発表などで建物に入ったことはあるのですが、取材のときはいつも裏口(北口)から入るよう指示されるので、窓口がどうなっているのか見たことがなかったのです。しかし今回、私は正々堂々「お客さん」です。エントランスで警備員さんに「ご用件は」と呼び止められても、ひるむ必要がありません。

 

案内されるまま窓口に通じる扉を開くと、そこは想像以上に人の気配がない、シーンとした静かな空間でした。壁に沿って待合用のソファが申し訳程度にあるものの、雑誌や新聞が置いてあったり、テレビやモニターが映し出されたりしているような、サービスやエンタメは用意されていません。置いてあるのはせいぜい、制度を紹介したパンフレットぐらいで、銀行の窓口というよりも昔の役場のような、あるいは切符売り場のような雰囲気です。長いカウンターには誰もおらず、客は私だけ。それがたまたまなのか、いつもそうなのかはわかりませんが、その部屋には職員の姿はほとんどありませんでした。

 

受付の女性に「カクカク、シカジカ…」と説明すると、持参した小切手に裏書きするようペンを渡されました。そうなのです、日銀渡しの小切手であっても一般の小切手と何ら手続きは変わらず、むしろ伝票を書く手間がなかったので楽なくらいでした。そして、古びた食堂のようなプラスチック製の札を渡され5分ほど待っていると、番号が呼ばれて、現金皿に載せられた裸の一万円札の束が目の前に置かれました。「お確かめください」と言われたので、しっかり数え直し、間違いなく60枚あることを確認して受け取りました。袋はもらえなかったので、カバンのポケットにそのまま入れて帰ってきました。

どうする金のブレスレッド⁉

ところで、もしかすると大平は、供託金を工面するため売却した「金ちゃん」(金のブレスレッド)を買い戻すのだろうか?と思われる方もいるかもしれません。しかし、これについては完全にNOです。

私の売却時より約8万円(/100g)も値上がりしていた…

なぜならまず、売却した時点で私は「溶かす」ことに同意しており、現物がこの世に存在しないのです。そして、仮に同一仕様の商品が売っていたとしても、売却価格と購入価格に大きな開きがあるため、戻ってきた供託金ではとても買えません。さらに、これはちょっと頭にくるのですが、私が売却した翌日から金価格が急騰し、もはや手の届かないものになってしまっていたのです。ですから買い戻さないというよりも、買い戻せないというのが実情です。

 

ちなみに、売却ではなく質入れにすれば良かったかな、とは一瞬だけ思いました。しかし質入れの場合は査定金額と利息の関係でさらに不利になり、万が一、供託金が戻ってこなかった場合のダメージが、拡大する恐れがあったのであきらめました。

 

でも何より一番の理由は、「お前はもう金のアクセサリーを身に着けるような年頃ではないぞ」と、もう一人の自分がささやいたからです。なので今後は自然に抗わず、ひっそりと枯れていきたいものですが…煩悩がなあああっ。やだやだ。それではまた!

異議申し立て1件

10月19日に表示されたバナー広告
当選無効を求め異議申し立て

「宮城県議選でネット広告」 小さな記事だったので見落としていました。11月7日の河北新報によると、先の宮城県議選で公選法違反に当たる有料のネット広告を出したとして、有権者1人が選管に仙台市内の候補者の当選無効を訴える異議申立てをしたということです。

 

この候補者が誰なのかは不明ですが、当選無効を訴えているわけですから落選した私でないことは間違いありません(汗)。選管は今後、委員会を開いて審理するそうですが、ネット広告の痕跡をどのような手段で調べるのでしょう。選管にサイバーパトロールのような知識も技術も無さそうだし、関係者に聞き取りを行う程度なのかな。

ちなみに私も見つけていました

私が選挙期間中の10月19日に目にした、というかたまたま開いたサイトに表示されたのが上に貼った画像です。異議申し立てを出されている候補者とは別の方かもしれませんので一応モザイク処理しておきます。このバナーを見た私は、まさかネット広告じゃないよなと思いながら試しにクリックしてみたのですが…

バナーをクリックするとこのサイトに

なんと、この方のプロフィールが表示されました。これがネット広告に当たるかどうかの判断は難しいかもしれませんが、私が閲覧したまったく無関係のサイトに勝手にバナーが表示され、そこからプロフィールサイトにリンクされていたわけですから、少なく見積もっても120%広告と言い切って間違いないと思います。私の主観です。

「気づいたなら…」

それなら「なぜ自分で通報しなかったんだ!」と思われる方も多いでしょう。じつはこのとき私は選挙違反を疑うよりも「ここまでならやってもOKなのか」「勉強になるなあ」と、不覚にも感心してしまったのです。なので画像をキャプチャーしたのも選挙違反の証拠を押さえようとしたわけではなく、今後の参考にしようと後学のために保存しただけなのでした。

 

重ねて記しますが、この画像の人物が異議申し立てを出されている方と同じかどうかはわかりませんので、そこはご理解ください。あくまでも私が見かけたネット広告の画像というだけですのでお間違えのありませんように。

難しい公選法の解釈

今回、私が自分の経験を通じて強く感じたのは公選法の解釈が難しいということです。私はてっきり選管に聞けば「ここまではセーフ、これはアウト」という感じでガイドラインを教えてくれるものだと思っていましたが、選管はそのような判断は示してくれません。常識の範囲内での質問には応じてくれますが、法の解釈については「あくまでも記載されているとおりです」と、木で鼻をくくったような回答しか得られませんでした。まあ当然と言えば当然でしょうが。

 

加えて、弁護士さんのアドバイスも意外にアテになりません。まして業者さんの言うことなど、かなり疑ってかかった方が良いと思います。私自身も直前になって気づき、急きょ対応を変えたことがいくつもありました。これが何人も関わるような大掛かりな選挙運動をされた方なら、なおさらだと思います。

 

それにしても誰が異議申立書を出されたのでしょうね。下世話な好奇心が働きます。とはいえ選管がネット広告を検証できるのかなあ…できねえだろうなあ。

収支報告書を提出しました。

宮城県議選から10日

ようやく選挙運動の収支報告書を提出し、選管に無事受理してもらいました。最終的な費用総額は148,321円ですが、ありがたいことに供託金没収点1,167票を上回る2088票のご支持を頂戴できました。これにより選挙ポスターの作成費125,600円が公費負担の対象となり、私個人の持ち出しは22,721円で収まりました。なけなしの供託金も返ってくることになり、どうにか出稼ぎに行かずに済みそうです。本当にありがとうございました!

--------------------------------------------------------------------

大平伸一 選挙運動費用

・ポスター作成費 125,600円 …公費負担対象

・たすき作成費    18,975円 …自己負担★

・名刺作成費               3,746円 …自己負担★

・供託金600,000円                      …払い戻し対象

--------------------------------------------------------------------

自己負担ゼロ選挙も可能

上記のように、私は今回「たすき代」と「名刺代」を選挙運動費用として計上しましたが、いずれも絶対に必要なものではないため省略することも可能でした。もし今回作らなければ、私はこの選挙を「自己負担ゼロの選挙」だったとアピールできたのですが、そこまでは割り切れないというか、「もし多少なり得票につながるとしたら」などと考えてしまい、結果的に中途半端な姿勢になったことは自分でも残念です。

じつはもっと多い出費額

選挙運動の収支報告書はあくまでも規定された「収支」をまとめたもので、じつはそれ以外の「報告の対象外」の出費もそこそこあります。私の場合、むしろほとんどが収支報告書の対象外だったので、書類上の自己負担額は3万円未満に収まっていますが実際にはその倍以上の出費がありました。とはいえ、それを含めても7万円未満で済んでいます。具体的にはポスターを貼るために使った自家用車のガソリン代や駐車場代なのですが、これらは私(候補者)自身が運転し、移動に使ったものなので、収支報告書には反映されない出費となります。

誰もほめてくれない節約選挙

今回、私はお金をかけずに選挙を闘うことを徹底しましたが、結果的には落選し2088票の思いをムダにしてしまいました。正直なところ「節約選挙は正しかったのだろうか」と悩んでもおり、今後他の皆さんには節約の徹底は勧めないかもしれません。また選管からも選挙運動費用を規定内に収めるよう注意されてはいましたが、少しでも安く済ませてほしいとは言われておらず、選挙費用に使われる公費を極力抑えたとしても誰もほめてくれません。金のかかる選挙に反発したところで当選できなければ支持してくださった有権者の皆さんに応えることができないわけで、もしかしたら私はがんばる方向が違っていたのではないかと今さらながら反省する次第です。

立候補への心のハードルが下がれば

一方で私は、我ながらよく頑張ったじゃないかと自画自賛しているのも事実です。まったく無名のおじさんが、自分の思いを伝えたいという、ただそれだけの理由で県議選に立候補するというあまりにも無謀な行動を起こしながら、わずか3万円足らずの自己負担で2000人を超える皆さまからご賛同を得られたことは、私の闘い方にそれなりの意味があった証しではないかと思えるからです。今後もし「私も出てみようかな」「俺にもやれるんじゃないの」などと、誰かが立候補を決意するときの心のハードルを下げることにつながれば、そのとき私の行動にも何らかの価値が生まれるのだと思います。

終わらない堂々めぐり

県議選が終わって10日が過ぎ、私のまわりからもようやく選挙の話題が消えかけてきました。しかし、それと反比例するように「ああすればよかった」「こうすべきだった」という私の中の堂々巡りが、なぜか日増しに声を高めています。それは、私自身の選挙結果に対するものではなく、次の誰かにアドバイスをするためのものなのですが、まだきちんと整理できていないため、文章化にはもう少し時間がかかりそうです。いずれ近々、「ひとり選挙必勝法」について、私なりの考えをまとめたいと思っています。…まあ、勝っていない私が必勝法を語るのも何なんですけどね。

収支報告書との戦い。

県議選が終わって2日経ちました。立候補を決める以前から「もし当選したら」という期待より「もし落ちたらどうなってしまうのだろう」という不安ばかりが頭をよぎっておりましたが、実際に落ちたところで心境にも生活にも大きな変化はなく、ただただ2000人を超える皆さまの票の重みを感じるばかりです。本当にありがたいことです。

 

投票日翌朝から励ましやねぎらいのご連絡をいただき、慰労会のお誘いまで受けました。私が将来を悲観して早まったことをするのではと思ったのかもしれませんが、そんな心配はご無用です。「おじいちゃんの大冒険」といったレベルの素人選挙でしたが、今後、私なりに感じたこと、気づいたことなどを整理して、後に続く皆さんの参考にできるようまとめたいと思っております。

 

ただ、まずはその前に敗戦処理、ならぬ選挙の事後処理が残っておりますので、大冒険の振り返りにはもうしばらくお時間をください。そして現在は「選挙運動費用収支報告書」との戦いに苦しんでおります。費用的には30万円以内に収まっているのですが、なにぶん書き方がよくわからず、今後も何度も書き直しを指示されることでしょう。

 

こんな小規模の「ひとり選挙」でさえ苦労するのですから、大所帯で闘われた皆さまの大変さは想像に難くありません。もちろんそのために専門のご担当者がいるのでしょうが、それでもかなりの手間であることは変わりないと思われます。そう考えると、ひとりで良かったと思う反面、結果が残せなくては投票して下さった方々に申し訳ないばかりで、一概にどちらが良いとは言えないのが正直なところです。

 

ということで、本来であれば選挙後も休みなく政治に対する要望や主張を訴え続けるべきなのでしょうが、疲労困憊も限界を超えようやく生きている状態です。ひとまず体調を整え、収支報告書などを片づけたうえで、リスタートしたいと思います。

 

ありがたいことに本来の業務に関してもお声がけをいただいております。いずれ供託金が戻ってくるとはいえ、働かなくては食べていけませんので映像業界の関係者の皆さま、ぜひぜひお仕事のご発注宜しくお願いいたします!!

 

追伸 腫れと痛みに苦しんでいた親指ですが、いまだに治っておりません。じつは選挙告示の数日前に、つまずいて転んだことがありまして、もしかするとそのときの影響かもと疑い始めたところです。明日にでも病院で診てもらおうと思います。…情けねーなあ。